今日は随分と久しぶりの授業でした。突然やってきた汗ばむような陽気に、季節を先取りするかのような、半袖半ズボンの生徒さんたちもいました。クラスメートに再会できた嬉しさからか、いささか浮かれ気分の生徒たちでしたが、春祭りのお茶会の練習までの一時間、みっちりと、集中して日本語を学習できました。
今日から数回は、アイヌの文化について学びます。萱野茂さんという、アイヌ出身の方が書いた、学童向けの本、『アイヌ ネノアン アイヌ 』という本から、数ページ、私が読み聞かせました。アイヌ の暮らし、歴史と食文化について書かれた部分です。その部分の要約文を、三人とも、自分のメインレッスンブックに、一生懸命書写しました。おしゃべりは多少していましたが、それぞれのペースで、しっかり書けました。三人全員が私のノートを見て書くことは困難なので、Tくんは私の板書を見て書きました。「先生、待ってるよ〜」と言って、もう書き終わったからもっと速く、上の行を消して次の文章を書いて、と催促してくれたのは、嬉しい悲鳴でした。三人とも、短い時間の割にはしっかりと書けました。 時間になりましたので、地下に降りていき、中学年と合流して、お茶のお稽古に行きました。毎年、私たちの学校の春祭りでお茶会の指導をしてくださっている、K先生と、息子さんのMさん(15歳)に、今日はご指導いただきました。K先生、Mさん、ありがとうございました。 A先生と私も含め、8人のグループでしたが、挨拶の後、まずお茶を出す側といただく側に分かれました。はじめにMちゃんが、お菓子を出してくれました。お盆は一旦自分の体の横におき、お菓子を差し出します。お客様に向きが逆さにならないように。立ち方は、慌てずゆっくりと、一旦しゃがむようにして立ちます。「源吉兆庵」のかわいい犬のついた羊羹をいただきました。左の手のひらにお菓子の載った紙を置いて、一口一口味わいました。このオレンジの色は何味だろうと、話ながら。かぼちゃ?オレンジ?どうやら味は小豆のようでした。食べたら紙は横に置きます。 やがてお茶が運ばれてきました。お茶を出す時は、反時計回りに茶碗を回します。いただく時は、時計回りに回します。「いただきます」、と挨拶をして、お茶をいただきます。隣の人には、「お先に」と一言かけます。飲み終わったら、口のついたところを指で拭き、また茶碗を回して、元の位置に置きます。 次に、順番を交代して、お茶をもてなされた生徒たちが、お茶を点てる練習をしました。お抹茶は1・5さじ、ひしゃくで「9時」方向から湯を茶碗に入れ、茶せんを「り」の字に素早く動かして、「の」の字を描いてできあがり。 最後に、生徒たちが、K先生に本日の感想を聞かれ、述べました。お菓子が美味しかったという子たちと、お茶を点てるのが楽しかったという生徒たちがいました。私も茶道は全くの素人ですが、「あれ?なんでだろう」と何気に思った小さなディーテールの一つ一つに、測り知れなく奥深い意味があることを、学ばさせていただきました。 例えば、茶せん。「あれ?なんか焦げたような黒いのがあるのはなぜだろう」と思っていたら、それは表千家では使われるタイプのものとのことでした。他の流派では、白い普通の竹を用いるそうです。また、お茶を出したりいただく時に茶碗を回すのは、そもそも絵柄のついた茶碗の、その絵柄の真ん中から飲むことを避けるため、そのようにして茶碗に敬意を払うためです。さらに、本日茶室にお香を炊いていただきましたが、その意味は、お客様に敬意を払うために、家庭の臭い、つまり日常臭を消すため、とのことです。たった一度のお稽古で、こんなにたくさんのことを教えていただきました。 視覚、味覚、臭覚と、静けさを聴く聴覚、そして器を触る触覚、とみなそれぞれに、生まれ持った感覚を総動員するという、まさにシュタイナー教育の目指すところを体験できた、本日の貴重な茶道のお稽古でした。本番の雰囲気を味わうのも大切ですが、このように練習するというプロセスの中に、学びの一番大切な部分が凝縮されているように感じました。 茶道の稽古の後は、小学部全体で近くの公園にランチを食べに行きました。 その後、今日は手仕事の代わりに、もう一度学年別に分かれて、漢字の学習をしました。今日は「しんにょう」の漢字をいくつか、そして「音読みと訓読み」という概念を紹介しました。しんにょうの漢字は、これからしばらく集中練習していきたいと思います。 さて、今週末は春子ども祭りです。今週土曜日も茶道のお稽古および日曜日の本番前のリハーサルがあります。先日お願いしました、服装や靴下(必ず白、新品)その他アクセサリーやマニキュアなどのこと、再度お気をつけください。メインレッスンは代行となり(ご迷惑おかけします)、また時間も短くなることから、宿題はたくさんは出しませんが、以下の指示をよく注意してお読みいただき、祭りの準備で忙しいところ恐縮ですが、お子さんの学習のサポートも、よろしくお願いします。 *** 4月21日までの宿題 1)前回の授業で渡した(それぞれのメインレッスンブックに挟み込まれている)4ページの「落語鑑賞ノート」に、書き込んできてください。それぞれにお貸ししている本は異なりますが、21日のメインレッスンでは、書き込んだことをみんなの前で簡単に発表してもらいます。あまり時間がないので、Q10までで結構です。 2)この授業報告書の、上の茶道の部分を親子で一緒に読み、先週K先生に習ったことを復習し、次回の稽古そして本番に備える。 4月28日までの宿題 1)4月21日、22日と、再び茶道をしてみて、何が一番印象に残ったか、「日記」のノートに見開き半ページ、縦書きで書いてくる。(余裕があれば、絵も隣のページに描いてください。) 2)4月14日に行った、「アイヌの人々」の要約文を書写するのを、終わらせる。 3)漢字の学習:今日習った、4つの「しんにょう」の漢字(道、週、遠、近)の読みと書きを練習する。配布したプリントの、該当するところーー道、遠、近、週ーーの空いている読みを、プリントに記入する。可能であれば、音読みは緑、訓読みは青で書く。これらの四つの漢字の読みと書きを、28日にテストします。 4)引き続き、笛の練習。「ペチカ」「海」もう完璧に吹けるようになりましたか? 以上、よろしくお願いします。 みなさん、ご家族で、お友達と一緒に、楽しい春子ども祭りをお過ごしください。その日の様子を後ほど、写真で拝見するのを楽しみにしています。太鼓も思う存分、がんばってくださいね。(もう既に土曜日の練習風景を見ただけで、私は感動しました!みなさんの晴れ舞台を見られないことが、とても残念です。) 備考:皆さん、前回の宿題もしっかりできていました。すばらしいノートになりました。(「国生み」の書写) また、下に添付しました茶道の稽古風景の写真は、すべてK先生提供です。先生、ありがとうございました。 小学部高学年担任 SSC Comments are closed.
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October 2020
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