• HOME
  • プログラム
  • 生徒募集
  • イベント情報
  • ブログ
  • お問い合わせ
ブルックリン虹のかけ橋日本語学校
  • HOME
  • プログラム
  • 生徒募集
  • イベント情報
  • ブログ
  • お問い合わせ

2018年1月27日BNJCC小学部高学年授業報告

2/3/2018

 
​今日はいよいよ前期の最後の授業日となりました。朝の会、体操の後は、L君のお誕生日会をしました。たくさんのポップコーンと色とりどりのカップケーキの差し入れを、L君のお父様・お母様、ありがとうございました。

高学年の今日のメインレッスンは、水彩画をしました。11時45分から終業式が始まるので、時間はなかったのですが、少し無理をしてでも今日はどうしても水彩画をして、今学期のテーマで数ヶ月間追求してきた古代ギリシャの世界に色彩で浸り、その色を心に落としておきたいと思ったからです。一時間たらずの限られた時間で新しいお話を導入するのもどうかと思いましたが、ギリシャの総まとめということで、本日新たに「アポロンとダフネ」のお話を紹介しました。タイトルには「アポロンとダフネーーどのようにしてアポロンはゲッケイジュを自分の木にしたか」という副題がついています。そうです、今日は終業式なので、私たちにとっては古代ギリシャの総まとめの日、オリンピックの晴れの舞台のような日なので、この「ゲッケイ樹」の由来について学ぶことは、今日の日にふさわしいと思ったのです。

エロスのいたずらによって、川の神の娘であるダフネの心に「鉛の矢」がささり、ダフネはその美しい体こそ痛めなかったけれど、恐怖心にとらわれてしまいます。同じく、エロスはいたずら心から、たまたま通りがかったアポロンに次は「金の矢」を射かけると、この金の矢はアポロンに「いちばんさきに見たものをすきにならせる力」を持っていたので、アポロンはこれまた偶然に自分の視野に入って来た、「美しい金色の髪をうしろになびかせながら走っていた」ダフネに恋をしてしまいます。アポロンに追いかけられると、ダフネの恐怖心はますます強まり、ダフネは「おとうさん、助けてください」と父のペネイオスに向かって叫びます。そしてペネイオスは娘の声をききつけると、「アポロンが追いつかないうちに、すぐさま、娘を木に変えてしまいました。それは、いつもつやつやした葉をもち、ほのかな黄色い花の咲く木でした。」

「アポロンが追いついてみると、川の土手の上に立っていたのは、もう、あの川の神の娘ではなくて、一本の美しい木でした。アポロンは、もうダフネにあえないのだ、ということを知って、たいへんかなしみました。[…] アポロンが、いつもみどりのこの木の葉でかんむりをつくって、ダフネの思い出のためにかぶっていました。」(石井桃子編訳、『ギリシャ神話』,pp. 37-40.)

このお話を心に思いながら、水彩画をしました。まず始めに「レモンイエロー」で木のおおまかな輪郭を描き、また、金髪のダフネの美しい姿を想像しながら、木を金色のような黄色に塗りました。次に、茶色で木枝や地面をぬりました。次は、いよいよ青の登場です。少し濃いめの「プルシアンブルー」で、ギリシャ神話の世界の、開放的な青々とした空を描きます。空だけではなく、海かもしれません。とにかく、背景が青色になったら、いろいよ心と呼吸を落ち着けて、その空の青を持って木の中に入っていきます。すると、ダフネの金色の髪の毛が次第にゲッケイ樹の「いつもつやつやした葉」に変容し始めました。木を描く時に、その中に美しい女の子の姿があるなど、普段なら想像しなかったと思います。

三人の生徒たちがそれぞれに自分の「ゲッケイ樹」を描いているとき、三人は見事に色の世界に浸っていました。このときはいつも仲良しの三人ですが、とにかくおしゃべりすることもなく、ふざけ合うこともなく、とにかく、一人一人がその出現する緑色の中に吸い込まれるような、完全に静寂のひと時でした。つね日頃の生活において、また学校という学びの場において、この静寂こそが大切にしたいものであります。子供たちは(私たち大人もそうですが)、静寂の中で学びます。何か一つのことを一緒に成し遂げている美しい一体感がそこにはありました。教師の私が、次の指示を声に出すことも憚れてるような、このパーフェクトな静寂が達成され、今日の授業の目標は達成されたと私はうちうちに嬉しく思いました。その静寂が成し遂げた、三人の色彩が、絵が、すばらしいことは、言うに及びません。それぞれの個性が出ている、ただそれだけではなく、三人の魂が、肉体がこの緑の木の中にいた、この青い空の中にいた、そう感じさせてくれる作品が出来上がりました。(最後に、空に白い雲を出したかったので、筆の水分を搾り取って、雲を描く作業をしました。)

来週、絵をお返ししますので、お家に帰ってからも、この文に添付します短い「アポロンとダフネ」のお話をお子様と一緒に読みかえしながら、もう一度ご家族でこの話の、この絵の世界に浸ってみてください。また、終業式では、Lちゃんは残念ながら現地校の行事のために発表ができませんでしたが、Tくん、Dくんともに、マントを羽織り、ゲッケイ樹(もどき)を頭に被って、立派にそれぞれの神様ーーヘルメスとディオニッソスーーについて、発表できました。いよいよ冬季オリンピックも始まりますね。

さて、今週からは春学期です。2月3日の授業からは心機一転、テーマは日本の歴史となります。まだ少しギリシャに後ろ髪が引かれる気持ちではありますが、新しいテーマ、どうぞお楽しみに。これからも毎回、笛を忘れずに持って来てください。

BNJCC小学部
高学年担任
Picture
沈黙で水彩画をしているようす
Picture
生徒の作品#2
Picture
先生の絵(生徒たちと一緒に、教室に射してくる自然光の中で描いていると、前の晩に一人で練習して描いたときよりも溌剌とした、地中海を思わせるような色が出たような気がします。)
Picture
終業式にて
Picture
生徒の作品#1
Picture
生徒の作品#3
Picture
オリンピックのような今日の終業式
Picture
終業式でのTくんの発表

Comments are closed.

    ​​教師の皆さん

    Picture

    カテゴリー

    All
    小学部
    幼児部

    アーカイブ

    October 2020
    August 2020
    June 2020
    May 2020
    April 2020
    February 2020
    January 2020
    December 2019
    November 2019
    October 2019
    September 2019
    June 2019
    May 2019
    April 2019
    March 2019
    February 2019
    December 2018
    November 2018
    October 2018
    September 2018
    June 2018
    May 2018
    April 2018
    March 2018
    February 2018
    January 2018
    December 2017
    November 2017
    October 2017
    September 2017
    June 2017
    May 2017
    April 2017
    March 2017
    February 2017
    January 2017
    February 2016
    January 2016
    November 2015
    October 2015
    September 2015
    August 2015
    July 2015
    June 2015
    May 2015
    April 2015
    March 2015
    February 2015

    RSS Feed

Picture
©2020 BNJCC – The Brooklyn Nijinokakehashi Japanese Cultural Center, NPO 501(c)3
  • HOME
  • プログラム
  • 生徒募集
  • イベント情報
  • ブログ
  • お問い合わせ