メインレッスンでは、まず今学期始めての水彩画を行いました。古代エジプトのピラミッドを描きました。私が用意した手本の図案が少し複雑すぎたのですが、絵の具がかなりワイルドににじんでしまう中(初回でしたので、水分調節のこつがまだ掴めませんでした)、生徒たちは何とかピラミッドの三角を保つように努めました。でもそう簡単には思い通りに描けないのも、にじみ絵の醍醐味の一つです。レモンイエロー、ゴールデンイエローでピラミッドと砂漠を、夕暮れの空には赤。ナイル川はウルトラマリンの薄い青、空の隅っこには濃いプルシアンブルー…と色を足しながら、それぞれが色の世界を体験しました。「こんなの大っ嫌い!水彩画なんて嫌!」と言っていた生徒も、空に赤と青が混ざって紫が出現するや、無言になり、ただひたすら色が広がるままに筆を運ばせていました。ピラミッドは空に埋没してしまいましたが、そんなことはもう気にもせず、随分と気持ちよさそうに描いていました。滲みが落ち着くのを待つために絵を窓辺で乾かしながら、要約文の勉強に移りました。
今日は古代エジプトの最後のレッスンですので、前回メトロポリタン美術館で勉強した「オシリス神」についての要約文をメインレッスンノートに書きました。生徒達は今日は水彩画の方がきっと楽しいに違いないと思っていたのですが、そんな私の予想とは反対に、生徒たちは突然スイッチが入ったかのように、ものすごい勢いと集中力で切磋琢磨するように文を書きました。今回は、小学5年生に知っていてほしい漢字はすべて赤で書きました。「豊」「義」の二つは五年生の漢字です。随分と難しいですね。「頭」「計画」「地」は2年生、「受」「死者」「緑」「幸」「美」「倍」「動」は3年生、「喜」「愛」は4年生の常用漢字です。先生の手本を参考に、今日書けなかったところは家で書き足しておきましょう。12月9日の授業日に、この要約文に基づいた簡単な漢字クイズをします。(クイズは初めてなので、書きではなく「読み」と「意味」だけ聞きます。意味の答えを書くのは日本語でも英語でも結構です。「計画」「死者」「正義」は熟語で覚えてください。)書き方を見ていたところ、まだ2〜3年生の漢字でもおぼつかないところがありましたので、お家で頑張って徹底的にこれらの漢字の読み書きの練習をしましょう。(なんでもノートを使用してください。)水彩画を先に行ったため、時間は限られていましたが、三人とも本当によく集中して読み書きの勉強ができました。
要約文がそれぞれ書き終わるころ、Tくんが自ら笛を取り出し、吹き始めました。水彩画、要約文ととても集中力を使ったので、笛が吹きたくなる気持ち、よくわかります。そういうことで、皆でもう一度(朝の会にもC先生との笛の練習はあった)皆で笛の練習をしました。笛はできない。。。と言ってDくんが部屋の隅っこに隠れてしまいましたが、Tくんがやさしく運指を教えてあげていたのも微笑ましかったです。「月」に続いて、今度は「もみじ」を吹きます。Lちゃんは一度聞いただけで、すぐに「もみじ」の冒頭のメロディー吹けるようになりました。楽譜は別に送ります。運指表のコピーもお渡ししましたので、これから半音階も時々出てきますし、適宜必要に応じて参照してください。
最後に、笛も片付けて、『枕草子』の冒頭、「春はあけぼの。ようようしろくなり行くやまぎわはすこしあかりて、むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる。」の朗読の練習をしました。テキストは見ずに、私が読むのを耳から聞いて何度かくりかえしてもらいました。Dくんは、「ようよう」… “yo-yo!?” とすかさずコメント。Lちゃんは「春はあけぼの〜」と早速にバレエ風に両手を広げ、舞っていました。いいですね、意味はわからなくても、そういう風に想像力(同音異義語のイメージ)や体(音、リズムが呼び起こすもの)を駆使してこれから冒頭の一節を暗記してしまいましょう。春は全員で、夏は8月生まれのDくん、秋は10月生まれのLちゃん、冬は12月生まれのTくんの担当になります。(暗記したものを12月16日の終業式で披露したいと思います。)テキストは別に送りますので、もう少しお待ちください。授業が終わると、三人の生徒達は飛ぶようにして教室を去って行きました。そして男の子たちは笛やら筆やらでフェンシングもどきを始め…頭を使った後に体を動かしたくなるのは、高学年でも同じですね。今日も一日おつかれさまでした。
小学部高学年担任